平成28年分より適用される税制改正

平成28年分の所得税確定申告より適用される主な改正事項のうち特に重要な事項をまとめました。

(国税庁作成「平成28年分所得税の改正のあらまし」より抜粋)※詳細はリンク先を参照してください。

FROM 個人のお客様のための佐々木健税理士事務所(東京 東久留米市)

I 平成 28 年度の主な改正事項

1 土地・住宅税制 

(1) 被相続人の居住用家屋に係る譲渡所得の特別控除制度の特例の創設

 相続又は遺贈による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした個人が、平成 28 年 4月1日から平成 31 年 12 月 31 日までの間に、次に掲げる譲渡をした場合には、居住用財産を譲渡した場合に該当す るものとみなして、居住用財産の譲渡所得の 3,000 万円特別控除を適用できることとされました(措 法 35、措令 23)。

(2) 住宅の多世帯同居改修工事等に係る特例の創設 

 ① 住宅の多世帯同居改修工事等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額 に係る特例が創設され、個人が、その者の有する居住用の家屋について、特定多世帯同居改修工 事等を含む増改築等を行った場合において、当該居住用の家屋を平成 28 年4月1日から平成 31 年6月 30 日までの間にその者の居住の用に供したときは、当該特定多世帯同居改修工事等を含む 増改築等に係る費用に充てるために借り入れた次に掲げる住宅借入金等の年末残高(1,000 万円を限度)の区分に応じ、それぞれ次に定める割合に相当する金額の合計額を所得税の額から控除で きることとされました。本特例は、住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額 の特別控除との選択適用とされ、控除期間は5年とされました(措法 41 の3の2、措令 26 の4)。

 ② 既存住宅に係る多世帯同居改修工事等をした場合の所得税額の特別控除制度が創設され、個人が、その者の有する居住用の家屋について、多世帯同居改修工事等を行った場合において、当該居住用 の家屋を平成 28 年4月1日から平成 31 年6月 30 日までの間にその者の居住の用に供したときは、 当該個人のその居住の用に供した日の属する年分の所得税の額から、その多世帯同居改修工事等の 標準的な工事費用相当額(250 万円を限度)の 10%に相当する金額を控除できることとされました (措法41の19の3、措令26の28の5)。

(5) 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除

 改正前の居住者が満たすべき要件と同様の要件の下で、非居住者が住宅の取得等をする場合について適用できることとされました。

(6) 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除及び特定の増改築等に係る住宅借入金 等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例

 エネルギーの使用の合理化に資する修繕又は模様替を適用対象に加える措置は、適用期限(平成 27 年 12 月 31日)の到来をもって廃止されました(旧措令 26㉖、26 の4⑦⑲)。

2 金融・証券税制

(7) 先物取引に係る雑所得等の課税の特例及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除

 次に掲げる取引が除外されました(措法 41 の 14①)。

イ 商品先物取引業者以外の者を相手方として行う店頭商品デリバティブ取引
ロ 金融商品取引業者のうち第一種金融商品取引業を行う者以外の者又は登録金融機関以外の者を相手方として行う店頭デリバティブ取引

3 事業所得等関係

(2) 減価償却制度

 平成 28 年4月1日以後に取得する建物の附属設備及び構築物並びに鉱業用の建物の減価償却の方法のうち、定率法が廃止されました(所令 120 の2等)。 

(3) エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除制度(環境 関連投資促進税制)

 次のとおり見直しを行った上、その適用期限が2年 延長されました。

 ① 対象資産から認定発電設備に該当する太陽光発電設備を除外し、対象資産に認定発電設備に該当 しない太陽光発電設備のうち一定のものを加える(措法 10 の2①一、措令5の4①一、平成 28 年 財務省告示第 103 号)。

 ② 対象資産に認定発電設備に該当しない風力発電設備のうち一定のものを加える(措法 10 の2① 一、措令5の4①二、平成 28 年財務省告示第 103 号)。

 ③ 対象資産から建築物に係るエネルギーの使用の合理化に著しく資する設備を除外する(旧措法 10 の2①二)。

 ④ 特別税額控除制度に係る措置の対象資産から車両運搬具を除外する(旧措法 10 の2③)。

 ⑤ 認定発電設備に該当する風力発電設備のうち一定のもの(特定エネルギー環境負荷低減推進設備 等)についてその取得価額から普通償却額を控除した金額までの特別償却(即時償却)ができる措 置を廃止する(旧措法 10 の2⑥⑦)。

(注)認定発電設備に該当する風力発電設備のうち一定のものは、対象資産からは除外されていませ んので、30%の特別償却(中小事業者については、7%の税額控除を含みます。)の適用は引き 続き可能です。 

4 国税通則法関係

(1) 延滞税

 申告をした後に減額更正がされ、その後更に増額更正又は修正申告(以下「増額更正等」といいます。)があった場合における増額更正等により納付すべき税額(そ の申告税額に達するまでの部分に限ります。(2)③において同じです。)について、その申告により納 付すべき税額の納付日の翌日から当該増額更正等までの間(減額更正が更正の請求に基づくものであ る場合には、その減額更正がされた日から1年を経過する日までの期間を除きます。)は、延滞税を 課さないこととされました(通則法 61②)。

(2)加算税制度 

 ① 加算税制度(通則法 65~68)について、次のとおり見直しが行われました(通則法 65、66、68)。 1 調査対象税目、調査対象期間等の一定の事項の通知以後、かつ、その調査があったことにより更 正又は決定があるべきことを予知(2において「更正予知」という。)する前にされた修正申告に 基づく過少申告加算税の割合(改正前:0%)については5%(期限内申告税額と 50 万円のいず れか多い額を超える部分は 10%)とし、期限後申告又は修正申告に基づく無申告加算税の割合(改正前:5%)については 10%(納付すべき税額が 50 万円を超える部分は 15%)とする。

 ②  期限後申告書若しくは修正申告書の提出又は更正若しくは決定等(以下「期限後申告書の提出等」という。)に係る無申告加算税(更正予知によるものに限る。以下同じ。)又は重加算税について、 その期限後申告書の提出等があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、その税目につい て無申告加算税又は重加算税を課されたことがある場合には、その期限後申告書の提出等に係る無 申告加算税の割合(15%、20%)又は重加算税の割合(35%、40%)は、それぞれその割合に 10% 加算した割合とする。

 ③ 上記(1)の延滞税の計算期間の見直しに併せて、増額更正等により納付すべき税額(減額更正が更正の請求に基づくものである場合を除く。)については、過少申告加算税を課さないことを明確化する。 

6 その他

(1) 税務関係書類における個人番号(マイナンバー)の記載(通則法 124 等)について、次の見直しが行われました。

 ① 提出者等の個人番号を記載しなければならないこととされている税務関係書類(申告書及び調書等を除く。)のうち、次に掲げる書類について、提出者等の個人番号の記載を要しない(所法 10③、57②、措令2の6①、25 の 13 の2②、所規 55 一等)。

 イ 申告等の主たる手続と併せて提出され、又は申告等の後に関連して提出されると考えられる書 類(例:所得税の青色申告承認申請書、青色事業専従者給与に関する届出書)

 ロ 税務署長等には提出されない書類であって提出者等の個人番号の記載を要しないこととした場 合であっても所得把握の適正化・効率化を損なわないと考えられる書類(例:非課税貯蓄申込書、 財産形成非課税住宅貯蓄申込書、非課税口座移管依頼書)

《適用関係》上記イの改正は、平成 29 年1月1日以後に提出すべき書類について適用され、上記ロ の改正は、平成 28 年4月1日以後に提出すべき書類について適用されます(改正法附則 4、6、改正措令附則4①、10①、改正所規附則6等)。ただし上記イの書類については、 平成 29 年1月1日前においても、運用上、個人番号の記載がなくとも改めてその記載を求めないこととされました。 

 ③  給与等又は公的年金等の支払者に対して、給与所得者の扶養控除等申告書、従たる給与について の扶養控除等申告書、退職所得の受給に関する申告書又は公的年金等の受給者の扶養親族等申告書 (以下「扶養控除等申告書等」という。)の提出をする場合において、その支払者が当該扶養控除 等申告書等に記載されるべき当該扶養控除等申告書の提出をする者、控除対象配偶者又は控除対象 扶養親族等の個人番号その他の事項を記載した帳簿(一定の申告書の提出を受けて作成されたもの に限る。)を備えているときは、当該提出をする者は、当該扶養控除等申告書等に、その帳簿に記 載された個人番号の記載を要しない(所法 198⑥、203 の5⑨、所規 76 の2⑪、77②、77 の4⑦)。 

 《適用関係》この改正は、平成 29 年1月1日以後に支払を受けるべき給与等、退職手当等又は公的 年金等に係る扶養控除等申告書等について適用されます(改正法附則 18②③、改正所規附則9)。

(9) セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)の 創設 

 医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が特に高い一般用医薬品 等の使用を推進する観点から、居住者が平成 29 年1月1日から平成 33 年 12 月 31 日までの間に自己 又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る特定一般用医薬品等購入費を支払った場合にお いて当該居住者がその年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている ときにおけるその年分の医療費控除については、その者の選択により、その年中に支払った特定一般 用医薬品等購入費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補塡される部分の金 額を除きます。)の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(8万8千円を限度) を、控除額とすることができることとされました(措法 41 の 17 の2、措令 26 の 27 の2、措規 19 の 10 の2)。

 

II 平成 25 年度の改正事項のうち、平成 28 年分の所得税から適用される主なもの 

1 特定公社債及び公募公社債投資信託等の受益権の課税方式

 特定公社債、公募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の公募投資信託の受益権及び特定目的 信託(その社債的受益権の募集が公募により行われたものに限る。)の社債的受益権(以下「特定公社債等」 という。)について、次の改正が行われました。

(1) 利子所得等の課税方式等

 特定公社債等の利子等については、15%源泉分離課税の対象から除外した上、次のとおり改正する(措 法3、3の3、8の4、8の5)。
 ① 平成 28 年1月1日以後に居住者等が支払を受けるべき一定の特定公社債等の利子等については、
15%の税率による申告分離課税の対象とする。

 ②  平成 28 年1月1日以後に支払を受けるべき一定の特定公社債等の利子等を有する居住者等は、その特定公社債等の利子等については、申告を要しない。 

(2) 譲渡所得等の課税方式

 特定公社債等の譲渡所得等については、非課税の対象から除外した上、次のとおり改正する(措法 37 の 11、旧措法 37 の 15)。
 ① 居住者等が、平成 28 年1月1日以後に特定公社債等の譲渡をした場合におけるその特定公社債等
の譲渡による譲渡所得等については、15%の税率による申告分離課税の対象とする(措法 37 の 11①②)。

 ②  特定公社債等の償還又は一部解約等により支払を受ける金額については、これを特定公社債等の譲渡所得等に係る収入金額とみなすことにより、15%の税率による申告分離課税の対象とする(措法 37 の 11③④)。 

(3) 上場株式等の譲渡損失及び配当所得の損益通算並びに繰越控除の特例の対象範囲の拡充等

 特定公社債等の譲渡損失及び利子所得等について、次のとおり損益通算及び繰越控除の対象とする (措法37の12の2)。

 ① 上場株式等の譲渡損失及び配当所得の損益通算の特例の対象に、特定公社債等の利子所得等及び 譲渡所得等が加えられ、これらの所得間並びに上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択したものに限る。)及び譲渡所得等との損益通算を可能とする(措法 37 の 12 の2①②)。

 ② 平成 28 年1月1日以後に特定公社債等の譲渡により生じた損失の金額のうち、その年に損益通 算をしても控除しきれない金額については、翌年以後3年間にわたり、特定公社債等の利子所得等 及び譲渡所得等並びに上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択したものに限る。)及び譲渡所得 等からの繰越控除を可能とする(措法 37の12の2⑤⑥)。 

(5) 特定公社債の範囲

「特定公社債」とは、次の公社債(預金保険法に規定する長期信用銀行債等を除く。)をいう(措法 3①一、37 の 10②七、37 の 11②一、五〜十四)。

 ① 国債、地方債、外国国債、外国地方債

 ② 会社以外の法人が特別の法律により発行する債券(外国法人に係るもの並びに投資法人債、短期投資法人債、特定社債及び特定短期社債を除く。)

 ③ 公募公社債、上場公社債

 ④ 発行の日前6か月以内に有価証券報告書等を提出している法人が発行する社債

 ⑤ 金融商品取引所(外国の法令に基づき設立されたこれに類するものを含む。)において公表された公社債情報(一定の期間内に発行する公社債の上限額、発行者の財務状況等その他その公社債に関す る基本的な情報をいう。)に基づき発行する公社債で、目論見書にその公社債情報に基づき発行され るものである旨の記載のあるもの

 ⑥ 国外において発行された公社債で、次に掲げるもの(取得後引き続き保管の委託がされているもの に限る。)
  イ 国内において売出しに応じて取得した公社債
  ロ 国内において売付け勧誘等に応じて取得した公社債(イに掲げる公社債を除く。)で、その取得
の日前6か月以内に有価証券報告書等を提出している法人が発行するもの

 ⑦ 外国法人が発行し、又は保証する債券で一定のもの

 ⑧ 国内又は国外の法令に基づいて銀行業又は金融商品取引業を行う法人又はその法人との間に完全支配の関係がある法人等が発行する社債(その取得をした者が実質的に多数でないものを除く。) 

 ⑨ 平成 27 年 12 月 31 日以前に発行された公社債 

2 特定公社債以外の公社債及び私募公社債投資信託等の受益権の課税方式 

 特定公社債以外の公社債、私募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の私募投資信託の受益権 及び特定目的信託(その社債的受益権の募集が公募以外の方法により行われたものに限る。)の社債的受 益権(以下「一般公社債等」という。)について、次の改正が行われました。

(1) 利子所得等の課税方式

 一般公社債等の利子等については、15%源泉分離課税を維持する。ただし、同族会社が発行した社 債の利子でその同族会社の判定の基礎となった株主等が支払を受けるものは、総合課税の対象とする(措法3)。 

(2) 譲渡所得等の課税方式

 一般公社債等の譲渡所得等については、非課税の対象から除外した上、次のとおり改正する(措法 37の10、旧措法 37 の15)。

 ①  居住者等が、平成 28 年1月1日以後に一般公社債等の譲渡をした場合におけるその一般公社債等 の譲渡による譲渡所得等については、15%の税率による申告分離課税の対象とする(措法 37 の 10①②)。

 ② 一般公社債等の償還又は一部解約等により支払を受ける金額(私募公社債投資信託及び証券投資信 託以外の私募投資信託にあっては、信託元本額までに限る。)については、これを一般公社債等の譲渡所得等に係る収入金額とみなすことにより、15%の税率による申告分離課税の対象とする。ただし、同族会社が発行した社債の償還金でその同族会社の判定の基礎となった株主等が支払を受ける ものは、総合課税の対象とする(措法 37の10③④)。 


III 平成 26 年度の改正事項のうち、平成 28 年分の所得税から適用される主なもの 

1 給与所得控除

 上限額が、平成 28 年分の所得税については 230 万円(給与収入 1,200 万円を 超える場合の給与所得控除額)に引き下げられました(所法 28③、平成 26 年度改正法附則4)。 


IV 平成 27 年度の改正事項のうち、平成 28 年分の所得税から適用される主なもの

3 日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化

 日本国外に居住する親族に係る扶養控除等について、次の改正が行われました。 

(1) 親族関係書類及び送金関係書類の添付等の義務化 

(2) 源泉徴収における親族関係書類の提出等の義務化 

(3) 年末調整における送金関係書類等の提出等の義務化 

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