貸倒金と内容証明郵便

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貸倒れの処理方法とポイント

FROM 個人のお客様のための佐々木健税理士事務所(東京 東久留米市)


 自営業者の方から売上金が回収できない場合の税務処理はどうしたらよいか?とのご質問が寄せられました。

 専門用語で貸倒損失と言いますが、事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金などの債権の貸倒れによる損失は、事業から生じた不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額の計算上必要経費に参入し、不動産所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産の損失の金額は、不動産所得又は雑所得の金額を限度として必要経費に算入します。

 ところで、何でもかんでも貸倒れにすることはできませんので、貸倒れを判定するにはいくつか条件があります。

 ①貸金等の全部又は一部の切り捨てをした場合、②回収不能の場合、③一定期間取引停止後弁済がない場合の3つに場合分けできますが、詳細は所得税法基本通達51-11、51-12、51-13に規定があるのでそちらで確認していただくとしてポイントだけ紹介します。


 ◉ 事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金などの債権の貸倒れによる損失

 まず、法令の規定による整理手続き(更正計画認可の決定等)があった場合は、その手続きがあったことを以て、その切り捨てられた金額をその日の属する年分の必要経費に計上します。

 また、取引停止後1年以上経過した場合(※条件がありますので詳細は上記通達を参照してください。)、その1年以上経過したことを以て、その日の属する年分の(1円以上の備忘価格を残して、その残額を)必要経費に計上します。

 さらに、貸倒れの金額が少額で、取立て費用に満たない場合(※条件がありますので詳細は上記通達を参照してください。)、その債務者に支払いを督促しても弁済がないことを以て、督促をしてから相当程度経過した日の属する年分の(1円以上の備忘価格を残して、その残額を)必要経費に計上します。

 最後に本題の内容証明郵便を用いる場合ですが、債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その貸金等の弁済を受けることができないと認められる場合にその債務者に対し債務免除額を書面により通知したことを以て、その免除した金額をその日の属する年分の必要経費に計上します。

 実務上、条件はあるものの、法令の規定による整理手続きがなく貸金等が少額でない場合で、督促をしても弁済がないケースでは、1年待って必要経費に計上するか、内容証明郵便で債権放棄をして必要経費に計上します。


 ◉ 不動産所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産の損失

 貸倒れの判定方法は「事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金などの債権の貸倒れによる損失」の場合と同様ですが、必要経費の計上時期や計上限度額が異なるので下記「誤りやすい事項」を参照してください。


誤りやすい事項

 事業と業務では貸倒れの処理が異なるので注意が必要です。

 ○ 事業の場合

  貸倒れとなった年分で全額必要経費算入

 ○ 業務の場合

 回収不能となった金額に対応する収入金額がなかったものとみなして、その収入が生じた年分に遡って再計算

 すでに申告済の年分については、更正の請求を提出する。なお、通常の更正の請求期限が徒過している場合は貸倒れとなった日から2ヶ月以内に更正の請求を提出すること。

※収入がなかったものとみなされる金額は、次のうち最も低い金額になります。

 ① 回収不能金額、② 所得税法64条適用前の課税標準の合計額、③ 「②」の計算の基礎とされた雑所得または不動産所得の金額


参考(内容証明郵便について)

○ 内容証明とは

 いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって郵便局が証明する制度です。

  • 郵便局が証明するものは内容文書の存在であり、文書の内容が真実であるかどうかを証明するものではありません。
  • 内容文書とは、受取人へ送達する文書をいいます。
    謄本とは、内容文書を謄写した書面をいい、差出人及び差出郵便局において保管するものです。

○ 内容証明の差出方法

主な内容証明の差出方法等は、次のとおりです。

  1. 差出郵便局
    差し出すことのできる郵便局は、集配郵便局及び支社が指定した郵便局です。
    すべての郵便局において差し出すことができるものではありませんので、あらかじめ差し出そうとする郵便局へお尋ねください。
  2. 差出方法
    郵便窓口に次のものを提出します。
    (1)内容文書(受取人へ送付するもの)
    (2)(1)の謄本2通(差出人及び郵便局が各1通ずつ保存するもの)
    (3)差出人及び受取人の住所氏名を記載した封筒
    (4)内容証明の加算料金を含む郵便料金
    念のため、差出人の印鑑をお持ちいただくことをお勧めいたします。※内容文書・謄本とも、用紙の大きさ、記載用具を問いませんから、市販の内容証明用紙以外の用紙を用いても、また、コピーにより作成してもかまいません。ただし、謄本には字数・行数の制限があります。
  3. その他
    差出人は、差し出した日から5年以内に限り、差出郵便局に保存されている謄本の閲覧を請求することができます。また、差出人は差し出した日から5年以内に限り、差出郵便局に謄本を提出して再度証明を受けることができます。

○ 利用料金

 内容証明の加算料金は430円 (2枚目以降は260円増)となります。なお、切手で支払う場合は、封筒に貼付せずに、郵便窓口までお持ちください。

   基本料金 + 一般書留の加算料金 + 内容証明の加算料金 = 利用料金

 ※謄本が1枚の内容証明を定形郵便物(重量25g以内)で差し出す場合の料金は次のとおりです。

基本料金82円➕一般書留の加算料金430円➕内容証明の加算料金430円=利用料金942円

○ 作成例

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