海外転勤と準確定申告や納税管理人選任の手続き



海外転勤と準確定申告や納税管理人選任の手続き




FROM 個人のお客様のための佐々木健税理士事務所(東京 東久留米市)

 海外転勤に伴い、年の途中で出国をされる場合の税金面での手続きについてお話をします。

◉ 会社からの給与だけで他の所得がない給与所得者の場合

 日本国内の会社に勤めている給与所得者が、1年以上の予定で海外の支店などに転勤し又は海外の子会社に出向したりする場合、この転勤や出向をした給与所得者は原則として、所得税法上の非居住者になります。
 非居住者が国外勤務で得た給与には、原則として日本の所得税は課税されません。したがって、非居住者となる時までに日本国内で得た給与について源泉徴収された所得税を精算する必要があります。
 精算の方法は、毎年12月に行う年末調整と同じ方法です。
 この調整による精算は非居住者となる時までに会社で行います。この調整のためには、次の手続をしてください。

① 「給与所得者の保険料控除申告書」を会社に提出します。
 ※
この調整で控除する保険料は、非居住者となる時の日までに支払った金額を対象にして計算します。
②  その年の初めに会社に提出した「
給与所得者の扶養控除等申告書」の記載内容に変更がないかどうかを確認します。
 ※控除対象扶養親族などになるかならないかは、出国時の現況で判断します。また、配偶者や扶養親族に所得があるときは、海外勤務となる年の1年分の所得金額を出国の時の現況で見積もって、配偶者控除や扶養控除が受けられるかどうかを判断します。

③ 配偶者特別控除が受けられる場合、「給与所得者の配偶者特別控除申告書」を会社に提出します。

◉ 海外転勤中の不動産所得などの納税手続き

 日本国内の会社に勤めている給与所得者が1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、一般的には、日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者となります。
 このように海外勤務等により非居住者となる人は、海外に出発する日までに既に一定の所得があるときや、海外に出発した後国内にある不動産の貸付けによる所得や国内にある資産の譲渡による所得などの、日本国内で生じた所得(以下「国内源泉所得」といいます。)があるときは、日本で確定申告が必要になる場合があります。
 確定申告が必要となる場合には、納税管理人を定め、「所得税の納税管理人の届出書」を、その人の納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。なお、消費税の課税事業者に該当する場合は、「消費税納税管理人届出書」も併せて提出する必要があります。
 ※
納税管理人とは、確定申告書の提出や税金の納付などを非居住者に代わってする人のことです(納税管理人は法人でも個人でも構いません。)。

 年の中途で海外勤務となった年分は、その年1月1日から出国する日までの間に生じた全ての所得と、出国した日の翌日からその年12月31日までの間に生じた国内源泉所得を合計して確定申告をします。
 なお、年の中途で海外勤務となった年分の確定申告書の提出期限は、出国の時までに納税管理人の届出書を提出したかどうかによって、次のように異なります。 

  1.  出国の時までに納税管理人の届出書を提出した場合
     その年1月1日から出国する日までの間に生じた全ての所得及び出国した日の翌日からその年12月31日までの間に生じた国内源泉所得(源泉分離課税となるものを除きます。)の合計額について、翌年2月16日から3月15日までの間に納税管理人を通して確定申告をする必要があります。
  2.  上記以外の場合
    (1) 出国前に生じた所得のみに係る確定申告
     海外に出発する日までに勤務先からの給与以外の一定の所得がある場合、その年1月1日から出国する日までの間に生じた所得について、その出国の時までに確定申告(準確定申告)をする必要があります。
     なお、1月1日から3月15日までの間に出国する場合、前年分の所得に係る確定申告書についても、出国の時までに提出する必要があります。
     また、海外に出発する日まで勤務先の給与のみの場合は、勤務先において年末調整が行われるので確定申告(準確定申告)をする必要はありません。
    (2) 出国前に生じた所得と出国後に生じた国内源泉所得に係る確定申告
     上記2(1)の確定申告書を提出したとしても、その年1月1日から出国する日までの間に生じた全ての所得及び出国した日の翌日からその年12月31日までの間に生じた国内源泉所得(源泉分離課税となるものを除きます。)について、翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告をする必要があります。
     この場合の納付すべき税額は、当該申告書において計算された納付すべき税額から上記2(1)の申告書に記載された納付すべき税額を控除した残額となります(逆に、当該申告書に記載された納付すべき税額が上記2(1)の申告書に記載された納付すべき税額より少額の場合には、その差額が還付となります。)。

 なお、海外勤務となった年の翌年以後も、日本国内で国内源泉所得が生じるときは、日本で確定申告が必要になる場合があります。この場合は、翌年2月16日から3月15日までの間に納税管理人を通して確定申告をすることになります。

 上記「海外転勤中の不動産所得などの納税手続き」の2.(2)のケースの「出国前に生じた所得と出国後に生じた国内源泉所得に係る確定申告書」は、特殊な記載方法をとりますので、所得税に詳しい税理士に依頼するのが安心です。

◉ 弊所へのご依頼は、こちらの コンタクトフォーム から

参考「海外勤務から帰国した時の所得税の確定申告と納税管理人の解任」、「居住者期間と非居住者期間がある場合の所得控除

© KEN SASAKI Tax Accountant Office 2016  TEL 042-470-0272 まずはお気軽にご相談ください。