居住者期間と非居住者期間がある場合の所得控除


居住者期間と非居住者期間がある場合の所得控除




FROM 個人のお客様のための佐々木健税理士事務所(東京 東久留米市)

 弊所のHPのアクセスを解析したところ海外勤務に伴う所得税の手続きに関する検索によるヒットが多かったことから海外勤務と非居住者そして納税管理人の注意点について、数回に渡ってお話をしていますが、今回はその続きです。 

 既に、「海外転勤と準確定申告や納税管理人選任の手続き」と「海外勤務から帰国した時の所得税の確定申告と納税管理人の解任」についてお話ししていますが今回は「居住者期間と非居住者期間がある場合の所得控除」についてお話しします。

 所得税の所得控除のうち、非居住者については雑損控除、寄附金控除及び基礎控除のみ適用されます(所法165、所令292)。

 上記を踏まえて、居住者期間と非居住者期間がある場合は、どのように計算するのでしょう。

 例題として、会社員が海外赴任を命じられ(3年間の赴任を予定)、海外赴任中に日本の自宅を賃貸する場合を考えてみます。
 この場合、出国時までは居住者であり出国後は非居住者となるため1年の間に居住者期間と非居住者期間があることになります。居住者期間に係る申告においては通常の所得控除の適用がある一方で、非居住者期間に適用することができる所得控除は、雑損控除、寄附金控除及び基礎控除に限られるためその他の控除は認められません。
 ただし、居住者期間の所得から控除しきれない所得控除がある場合は、その年中の非居住者期間の所得から控除することができます。

 ここで参考法令を確認してみます。

所得税法

(年の中途で非居住者が居住者となつた場合の税額の計算)

第百二条  その年十二月三十一日(その年の中途において死亡した場合には、その死亡の日)において居住者である者でその年において非居住者であつた期間を有するもの又はその年の中途において出国をする居住者でその年一月一日からその出国の日までの間に非居住者であつた期間を有するものに対して課する所得税の額は、前二章(課税標準及び税額の計算)の規定により計算した所得税の額によらず、居住者であつた期間内に生じた第七条第一項第一号(居住者の課税所得の範囲)に掲げる所得(非永住者であつた期間がある場合には、当該期間については、同項第二号に掲げる所得)並びに非居住者であつた期間内に生じた第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に掲げる非居住者の区分に応ずる同項各号及び同条第二項各号に掲げる国内源泉所得に係る所得を基礎として政令で定めるところにより計算した金額による。

所得税法施行令

(年の中途で非居住者が居住者となつた場合の税額の計算)

第二百五十八条  法第百二条 (年の中途で非居住者が居住者となつた場合の税額の計算)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同条 に規定する居住者につき次に定める順序により計算した所得税の額とする。

一  その者がその年において居住者であつた期間(以下この条において「居住者期間」という。)内に生じた法第七条第一項第一号 (居住者の課税所得の範囲)に掲げる所得(居住者期間のうちにその者が非永住者であつた期間がある場合には、当該所得及び当該期間内に生じた同項第二号 に掲げる所得。第四項において同じ。)及びその者がその年において非居住者であつた期間(以下この条において「非居住者期間」という。)内に生じた法第百六十四条第一項 各号(非居住者に対する課税の方法)に掲げる非居住者の区分に応ずる当該各号に定める国内源泉所得に係る所得を、法第二編第二章第二節 (各種所得の金額の計算)の規定に準じてそれぞれ各種所得に区分し、その各種所得ごとに所得の金額を計算する。

二  前号の所得の金額(同号の規定により区分した各種所得のうちに、同種の各種所得で居住者期間内に生じたものと非居住者期間内に生じたものとがある場合には、それぞれの各種所得に係る所得の金額の合計額)を基礎とし、法第二編第二章第一節 及び第三節 (課税標準、損益通算及び損失の繰越控除)の規定に準じて、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額を計算する。

三  法第二編第二章第四節 (所得控除)の規定に準じ前号の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から基礎控除その他の控除をして課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額を計算する。

四  前号の課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額を基礎とし、法第二編第三章第一節 (税率)の規定に準じて所得税の額を計算する。

五  その者がその年において法第二編第三章第二節 (税額控除)(法第百六十五条第一項 (総合課税に係る所得税の課税標準、税額等の計算)の規定により同節 の規定に準じて計算する場合を含む。)の規定により配当控除及び外国税額控除を受けることができる場合に相当する場合には、前号の所得税の額からこれらの控除を行い、控除後の所得税の額を計算する。

六  その者が非居住者期間内に支払を受けるべき法第百六十四条第二項 各号に掲げる非居住者の区分に応ずる当該各号に定める国内源泉所得がある場合には、当該国内源泉所得につき法第百六十九条 (分離課税に係る所得税の課税標準)及び第百七十条 (分離課税に係る所得税の税率)の規定を適用して所得税の額を計算し、当該所得税の額を前号の控除後の所得税の額に加算する。

2  前項第一号の規定により各種所得ごとに所得の金額を計算する場合において、給与所得、退職所得、法第三十五条第三項 (公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係る雑所得又は山林所得、譲渡所得若しくは一時所得で居住者期間内及び非居住者期間内の双方にわたつて生じたものがあるときは、これらの所得に係る法第二十八条第三項 (給与所得)に規定する給与所得控除額、同条第四項 若しくは法第五十七条の二第一項 (給与所得者の特定支出の控除の特例)の規定による給与所得の金額、法第三十条第二項 (退職所得)に規定する退職所得控除額、法第三十五条第四項 に規定する公的年金等控除額又は法第三十二条第四項 (山林所得)、第三十三条第四項(譲渡所得)若しくは第三十四条第三項(一時所得)に規定する特別控除額は、居住者期間内及び非居住者期間内に生じたこれらの所得をそれぞれ合算した所得につき計算する。

3  第一項第三号の規定により同号に規定する基礎控除その他の控除を行う場合には、これらの控除のうち次の各号に掲げるものについては、当該各号に定める金額を控除する。

一  雑損控除 法第七十二条第一項 (雑損控除)に規定する損失の金額で居住者期間内に生じたものと当該損失の金額で非居住者期間内に生じたもの(第二百九十二条第一項第十四号(恒久的施設帰属所得についての総合課税に係る所得税の課税標準等の計算)の規定に該当する損失の金額に限る。)との合計額が法第七十二条第一項 各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額(第一項第二号に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の十分の一に相当する金額を同条第一項第一号 に定める金額とした場合における同項 各号に定める金額とする。)を超える場合におけるその超える部分の金額

二  医療費控除 その者が居住者期間内に支払つた法第七十三条第一項 (医療費控除)に規定する医療費の金額が第一項第二号 に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の五に相当する金額(当該金額が十万円を超える場合には、十万円)を超える場合におけるその超える部分の金額(当該金額が二百万円を超える場合には、二百万円)

三  社会保険料控除及び小規模企業共済等掛金控除 その者が居住者期間内に支払つた又はその給与から控除される法第七十四条第二項 (社会保険料控除)に規定する社会保険料の金額及びその者が居住者期間内に支払つた又はその給与から控除される法第七十五条第二項 (小規模企業共済等掛金控除)に規定する小規模企業共済等掛金の額

四  生命保険料控除及び地震保険料控除 その者が居住者期間内に支払つた法第七十六条第一項 (生命保険料控除)に規定する新生命保険料及び旧生命保険料、同条第二項 に規定する介護医療保険料、同条第三項 に規定する新個人年金保険料及び旧個人年金保険料並びに法第七十七条第一項 (地震保険料控除)に規定する地震保険料につき法第七十六条 又は第七十七条 の規定を適用した金額

4  第一項第五号の規定により外国税額控除を行う場合において、その者の非居住者期間内に生じた法第百六十四条第一項第一号 イに掲げる国内源泉所得(以下この項において「恒久的施設帰属所得」という。)があるときは、次に定めるところによる。

一  その者の居住者期間内に生じた法第七条第一項第一号 に掲げる所得の金額及び非居住者期間内に生じた恒久的施設帰属所得に係る所得の金額について法第八十九条から第九十二条 まで(税率及び配当控除)の規定により計算したその年分の所得税の額にその年分のイに掲げる金額のうちにその年分のロに掲げる金額の占める割合を乗じて計算した金額(以下この項において「控除限度額」という。)を限度として、その者が各年において納付することとなる控除対象外国所得税合計額(法第九十五条第一項 (外国税額控除)に規定する控除対象外国所得税の額で居住者期間内に生じた法第七条第一項第一号 に掲げる所得につき課されるもの及び法第百六十五条の六第一項 (非居住者に係る外国税額の控除)に規定する控除対象外国所得税の額で非居住者期間内に生じた恒久的施設帰属所得につき課されるものの合計額をいう。以下この項において同じ。)を第一項第四号の所得税の額から控除する。

イ 居住者期間内に生じた法第七条第一項第一号 に掲げる所得及び非居住者期間内に生じた恒久的施設帰属所得に係る所得について、法第七十条第一項 若しくは第二項 (純損失の繰越控除)又は第七十一条 (雑損失の繰越控除)の規定を適用しないで計算した場合のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額

ロ 居住者期間内に生じた法第九十五条第一項 に規定する国外源泉所得に係る所得について法第七十条第一項 若しくは第二項 又は第七十一条 の規定を適用しないで計算した場合の法第九十五条第一項 に規定する国外所得金額に相当する金額及び非居住者期間内に生じた法第百六十五条の六第一項 に規定する国外源泉所得に係る所得について法第七十条第一項 若しくは第二項 又は第七十一条 の規定を適用しないで計算した場合の法第百六十五条の六第一項 に規定する国外所得金額に相当する金額の合計額(当該合計額がイに掲げる合計額に相当する金額を超える場合には、当該合計額に相当する金額)

二  その者が各年において納付することとなる控除対象外国所得税合計額がその年の控除限度額と地方税控除限度額(地方税法施行令第七条の十九第三項 (道府県民税からの外国所得税額の控除)の規定による限度額と同令第四十八条の九の二第四項 (市町村民税からの外国所得税額の控除)の規定による限度額との合計額をいう。)との合計額を超える場合において、その年の前年以前三年内の各年(次号において「前三年以内の各年」という。)の法第百六十五条の六第一項 に規定する控除限度額のうち同条第二項 に規定する繰越控除限度額があるときは、当該繰越控除限度額を法第九十五条第二項 に規定する繰越控除限度額とみなして、同条 の規定を適用する。

三  その者が各年において納付することとなる控除対象外国所得税合計額がその年の控除限度額に満たない場合において、その前三年以内の各年において納付することとなつた法第百六十五条の六第一項 に規定する控除対象外国所得税の額のうち同条第三項 に規定する繰越控除対象外国所得税額があるときは、当該繰越控除対象外国所得税額を法第九十五条第三項 に規定する繰越控除対象外国所得税額とみなして、同条 の規定を適用する。

 所得税法基本通達

(年の中途で居住者が非居住者となつた場合の税額の計算)

165-1 その年12月31日(その年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の日)において非居住者である者でその年において居住者であった期間を有するもの(165-2において「居住者期間を有する非居住者」という。)に対して課する所得税の額は、法第165条第1項の規定により、法第102条《年の中途で非居住者が居住者となった場合の税額の計算》の規定に準じて計算することに留意する(平28課2-4、課法11-8、課審5-5改正)。


(居住者期間を有する非居住者に係る扶養親族等の判定の時期等)

165-2 居住者期間を有する非居住者につき法第165条第1項において準用される法第102条の規定により所得税の額を計算する場合に控除する法第79条《障害者控除》から第84条《扶養控除》までに規定する控除額の計算の基礎となる扶養親族等の判定の時期等については、法第85条第1項《扶養親族等の判定の時期等》に規定する「その年12月31日(その者がその年の中途において死亡し又は出国をする場合には、その死亡又は出国の時……)」とは、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる時をいうものとして、同条の規定を準用する(平28課2-4、課法11-8、課審5-5改正)。

(1) その者が通則法第117条第2項《納税管理人》の規定による納税管理人の届出をして居住者でないこととなった場合 その年12月31日(その者がその年中に死亡したときは、その死亡の時)

(2) その者が同項の規定による納税管理人の届出をしないで居住者でないこととなった場合 その居住者でないこととなる時

 非居住者にかかる申告は専門知識がないと難しいのが実状です。所得税に係る国際課税に明るい税理士にご相談することをお勧めいたします。

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