社会保険料控除の誤りやすい点について

社会保険料控除の誤りやすい点について

FROM 個人のお客様のための佐々木健税理士事務所(東京 東久留米市)

 弊所でもクライアントの皆さんをはじめ、所属している東京税理士会主催の無料相談で対応させていただいた方々の平成28年分の所得税の確定申告について多くの相談をすでに受けていますが、社会保険料控除のうち、国民健康保険料(税)や後期高齢者医療保険料、介護保険料について誤りやすい点をご紹介します。

 誤りやすい点の1つ目は、対象金額の期間的な範囲です。所得税法の規定では、控除できる金額は、その年に実際に支払った金額又は給与や公的年金等から差し引かれた金額の全額とされています(所法74)。

(社会保険料控除)

第七十四条  居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払つた場合又は給与から控除される場合には、その支払つた金額又はその控除される金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。

 所得税法では、「支払った金額」と規定されていますので、本年中に支払ったものであれば、過去の年分のものであっても本年分の社会保険料控除の対象になります。また、前納した期間が1年以内のものについては、本年分の社会保険料控除の対象として差し支えありません(所基通74・75−2)。

74・75-2 前納した社会保険料等のうちその前納の期間が1年以内のもの及び法令に一定期間の社会保険料等を前納することができる旨の規定がある場合における当該規定 に基づき前納したものについては、その前納をした者がその前納した社会保険料等の全額をその支払った年の社会保険料等として確定申告書又は給与所得者の保険料控除申告書に記載した場合には、74・75-1の(2)にかかわらず、その全額をその年において支払った社会保険料等の金額として差し支えない。 なお、この前納した社会保険料等の特例(以下この項において「特例」という。)を適用せずに確定申告書を提出した場合には、その後において更正の請求をするときにおいても、この特例を適用することはできないことに留意する。(平25課個2-8、課法9-3、課審5-28改正)

 ここで、気を付けたいのが、4月から翌年の3月までの会計年度で通知される国民健康保険料(税)や後期高齢者医療保険料、介護保険料については、一括で前納している場合を除いて毎月振替している場合や現金で納付している場合には、当年中に振替又は現金納付したものが控除対象となるため、今年度分の通知書のみでは控除対象金額がわからないので、控除対象金額の把握のためには、前年分の通知書が併せて必要になります。
 なお、市区町村によっては納付証明書を発行してくれたり、当該期間中の納付額を口頭等の適宜の方法で教えてくれるので、市区町村の窓口を活用する方法もあります。

 誤りやすい点の2つ目は、対象金額の支払い方法による範囲です。
 例えば、介護保険料などの社会保険料が、扶養している妻の公的年金から特別徴収されている場合、その社会保険料を支払ったのは妻になります。したがって、自己が支払った社会保険料ではありませんから、自己の社会保険料控除の対象にはなりません。
 また、後期高齢者医療制度の保険料について、平成21年4月以降の保険料については市区町村等へ一定の手続を行うことにより、年金からの特別徴収に代えて、口座振替により保険料を支払うことが選択できることとされました。この場合には、口座振替によりその保険料を支払った方(被保険者又は被保険者と生計を一にする配偶者その他の親族に限ります。)に社会保険料控除が適用されます。

 誤りやすい点の3つ目は、添付又は提示する証明書の範囲です。
 国民年金保険料や国民年金基金の掛金については「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」の添付又は提示が義務付けられています。この二つ以外の国民健康保険料(税)等の社会保険料については証明書の添付又は提示は必要ありません。なお、給与や年金から天引きされている場合や年末調整時に勤務先等に提出したものについては源泉徴収票にその旨の記載があります。源泉徴収票自体は添付義務がありますので、改めて証明書を添付又は提示する必要はありません。

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