事業用車両の購入と売却に係る経理方法


事業用車両の購入と売却に係る経理方法

FROM 個人のお客様のための佐々木健税理士事務所(東京 東久留米市)



 個人の方が事業用車両を購入したり売却した場合の経理方法についてご質問を受けましたので、ポイントをまとめておきます。(平成29年3月16日加筆)


◉ 車両購入時のポイント

 多くの場合、ローンを組んで車を購入されると思います。また、車の購入時には各種の税金や自賠責保険等諸経費もかかってきますので経理方法が難しいと感じられるのだと思います。

 まず、理解を深めるために、具体的な金額を設定してみます。
 ①自動車本体価格が2,000,000円、②オプション・付属品価格200,000円、③自動車税23,000円、④自動車重量税45,000円、⑤自動車取得税150,000円、⑥自賠責保険料30,000円、販売諸費用(消費税課税分)50,000円(内⑦リサイクル預託金に係る資金管理料金300円、⑧手続代行手数料49,700円)、販売諸費用(消費税非課税分)20,000円(内⑨リサイクル預託金15,000円、⑩預り法定費用5,000円)、⑪消費税180,000円とします。
 次に、旧車両下取額300,000円(リサイクル預託金17,000円含む)、頭金398,000円(事業用預金から振込)、自動車ローン2,000,000円で支払ったとします。
 なお、新旧車両とも事業専用割合は70%であるとします。また、旧車両の期首未償却残高は100,000円であるとします。 

 ここでの最初のポイントですが、③自動車税、④自動車重量税、⑤自動車取得税、⑥自賠責保険料は、自動車を取得後、所有することにより支出する事後的な費用と考えられますから、自動車の取得価額に含めることなく、各種所得の金額の計算上必要経費に算入します(所基通37-5、37-6)。
 よって、一般的な勘定科目としては、③、④、⑤は租税公課、⑥は損害保険料となりますが、個人の方の場合、③〜⑥を全て「車両費」や「車両関係費」等の勘定科目を設定して処理すると決算整理時の家事按分が楽になると考えられます。

 次のポイントは、減価償却費の計算の基となる取得価額に含めるかどうか選択可能なものがあるということです。この事例の⑧販売諸費用(登録検査、車庫証明に係る手続代行手数料)、⑩預り法定費用(登録検査、車庫証明に係る印紙・証紙代)については、車両自体はこれらの手続をしなくとも取得できますが取得後実際に業務の用に供するために支出されていることから、取得価額に含めるかどうか選択可能です(所基通37-5、49-3(2))。

 最後のポイントは、⑦リサイクル預託金に係る資金管理料金と⑨リサイクル預託金の取り扱いです。まず、⑨リサイクル預託金については、支出した年分については、預託金として資産に計上し、廃車した場合にはその年の必要経費に算入します。一方、⑦リサイクル預託金に係る資金管理料金については、支出した年分の必要経費に算入します。

 なお、法人の場合、割賦手数料は取得価額に算入しないことができますが(法基通7-3-2)、個人の場合は、利息相当額を支払った年分の必要経費に算入することになります。

参考

 個人事業主が機械や自動車などの事業用資産を売却した時は、売却した固定資産の帳簿価額を貸方に記帳すると同時に、売却代金を借方に記帳します。固定資産の帳簿価額と売却価額との差額は『事業主借』(売却益がある場合)または『事業主貸』(売却損がある場合)勘定を使って記帳します(個人事業主では固定資産売却損益勘定は使用しません)。

 これは、個人事業主が事業で使用する固定資産を売却した時の所得が、事業所得や不動産所得ではなく(総合)譲渡所得となるため、事業所得や不動産所得の損益に固定資産の売却損益が含まれないようにするためです。


◉ 自動車ローン返済時のポイント

 返済時のポイントは、毎月の返済額のうち元金部分は経費になりませんが、利息相当分は支払利息として、その年分の必要経費になるということです。よって、ローンの支払額の明細等から元金部分と利息部分の金額を調べておく必要があります。ここでも、利息相当分を「車両費」や「車両関係費」等の勘定科目を設定して処理すると決算整理時の家事按分が楽になると考えられます。

 事業用車両の購入時に「借入金」勘定が貸方に設定されていますので、毎月の返済時には、元本部分を借入金と相殺するため当該金額が借方に来るとともに、利子相当分の支払金額が支払利息として借方に来ます。

◉ 車両売却時のポイント

 売却時のポイントの一つ目は、事業用車両を譲渡した場合、事業所得ではなく総合譲渡所得になるということです。その資産の取得の日以後5年以内にされた譲渡は短期譲渡所得、5年超の場合は長期譲渡所得となります。総合譲渡に係る譲渡益には特別控除額があり、譲渡益が50万円未満の場合はその譲渡益に相当する額、譲渡益が50万円以上の場合には50万円が特別控除額です。なお、長期譲渡所得に該当する場合、特別控除後の金額の1/2の金額が課税対象となります。

 二つ目のポイントは、消費税課税事業者の場合には、事業用資産の譲渡に該当しますので、消費税の課税対象になるということです。この際、簡易課税制度を適用している場合は、第4種事業に該当します(消基通13-2-7(注))。また、法人成りや廃業の場合には、当該事業用資産について、みなし譲渡の適用について検討する必要があります。なお、消費税の課税売上額の算定にあたっては、譲渡時点での当該事業用資産の事業専用割合で合理的に区分することになります。

 三つ目のポイントは、年の中途で譲渡した減価償却資産の償却費の取り扱いです。年の中途で譲渡した減価償却資産の譲渡までの期間に係る減価償却費については、その取得価額に含めずに、必要経費に算入しても差し支えないこととされているため(所基通49-54)、どちらを選択した方が有利になるのか検討する必要があります。

 最後のポイントは、損失があった場合の取扱いについてです。事業専用割合が100%ではない、兼業の資産については、「生活用動産の譲渡」(所法9①九、所令25)、「生活に通常必要でない資産」(所法9①九、62①、所令25、178①)、「生活用動産を譲渡した場合の譲渡損失の金額」((所法9②一)の各規定の損失の取扱いについての検討が必要です。


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