相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例
(小規模宅地等の特例)

相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例

(小規模宅地等の特例)

個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。 

なお、相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。

(注)

1 被相続人等とは、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族をいいます(以下同じです。)。

2 宅地等とは、土地又は土地の上に存する権利で、一定の建物又は構築物の敷地の用に供されているものをいいます。ただし、棚卸資産及びこれに準ずる資産に該当しないものに限られます(以下同じです。)。

FROM 個人のお客様のための佐々木健税理士事務所(東京 東久留米市)

今回は、所謂「小規模宅地の特例」の特定居住用宅地についてまとめてみました。

◯ 減額される割合

(1)相続の開始のあった日が「平成27年1月1日以後」の場合
        被相続人等の居住の用に供されていた宅地等
   要件:特定居住用宅地等に該当する宅地等
   限度面積:330㎡
   減額される割合:80%

(2)相続の開始のあった日が「平成26年12月31日まで」の場合
       平成22年4月1日以後平成26年12月31日までに相続の開始のあった被相続人に係る相続税について
        被相続人等の居住の用に供されていた宅地等
   要件:特定居住用宅地等に該当する宅地等 
     限度面積:240㎡
     減額される割合:80%

◯ 特定居住用宅地等

相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(次表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。なお、その宅地等が2以上ある場合には、主としてその居住の用に供していた一の宅地等に限ります。

Ⅰ被相続人の居住の用に供されていた宅地等
ⅰ取得者:被相続人の配偶者
  「取得者ごとの要件」はありません。
取得者:被相続人と同居していた親族
  相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人
ⅲ取得者:被相続人と同居していない親族
  ①から③の全てに該当する場合で、かつ、次の④及び⑤の要件を満たす人
  ①相続開始の時において、被相続人が一時居住被相続人、非居住被相続人又は非居住外国人であり、かつ、取得者が一時居住者又は日本国籍及び日本国内に住所を有していない人ではないこと。
  ②被相続人に配偶者がいないこと
  ③被相続人に、相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族でその被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)である人がいないこと
  ④相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと
  ⑤その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

Ⅱ被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等
ⅰ取得者:被相続人の配偶者
  「取得者ごとの要件」はありません。
取得者:被相続人と生計を一にしていた親族
  相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人

(注)

 1 「一時居住者」については、こちらをご覧下さい。
 2 「一時居住被相続人」、「非居住被相続人」及び「非居住外国人」については、こちらをご覧下さい。
 3 平成26年1月1日以後に相続開始があった次の場合は、特定居住用宅地等に取扱います。
  ①二世帯住宅に居住していた場合
   被相続人と親族が居住するいわゆる二世帯住宅の敷地の用に供されている宅地等について、一定の要件を満たすものである場合(二世帯住宅が構造上区分された住居であっても、区分所有建物登記がされている建物は除く。)。
  ②老人ホームなどに入居又は入所していた場合
   次のような理由により、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等について、一定の要件を満たす場合(被相続人の居住の用に供さなくなった後に事業の用又は被相続人等以外の者の居住の用とした場合を除く。) 。
  イ 要介護認定又は要支援認定を受けていた被相続人が次の住居又は施設に入居又は入所していたこと
   A 認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム又は有料老人ホーム
   B 介護老人保健施設
   C サービス付き高齢者向け住宅
  ロ 障害支援区分の認定を受けていた被相続人が障害者支援施設などに入所又は入居していたこと


平成25年税制改正

平成25年度税制改正では、相続税について、相続税の再分配機能の回復、格差の固定化の防止等の観点から、相続税の基礎控除及び税率構造が見直されることとされました。  今般の相続税の見直しにおいて、基礎控除が引き下げられ、最高税率が引き上げられる結果、地 価の高い都市部に土地を有する者の負担がより増すことが想定されます。特に、土地については、 生活・事業の基盤である一方、切り分けて売却することに困難が伴うとともに、都市計画上も土地の細分化が生じてしまうことから、一定の配慮が求められます。  こうした状況に配慮し、今般の相続税・贈与税 の見直しに係る自民党・公明党・民主党による三党協議において、小規模宅地等の特例の見直しを 盛り込むことについて意見が一致し、この特例について見直しが行われることとなりました。  また、この特例については、いわゆる「二世帯 住宅」について、以前から建物の構造上の違いにより課税関係が異なることは不合理との指摘もありましたが、「二世帯住宅」であれば内部で行き来できるか否かにかかわらず、全体として二世帯が同居しているものとしてこの特例の適用が可能とされました。  同様に、被相続人が有料老人ホームに入居していた場合には、終身利用権を取得した場合など、 老人ホームに入居する前に居住していた家屋の敷地についてこの特例が適用できない場合がありましたが、老人ホームに入居したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用 に供されていた宅地等についても、一定の要件の下、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた場合と同様にこの特例の適用が可能とされました。

二世帯住宅の取扱いの見直し

  被相続人と親族が同居している家屋の敷地の用に供されている宅地等については、特定居住用宅地等としてこの特例が適用されます。このような宅地等のうち、いわゆる二世帯住宅の用に供されている宅地等については、その同居の判定が問題となります。構造上内部で行き来が可能な二世帯住宅(構造上区分されていない二世帯住宅)については、全体を一つの住居と捉え、被相続人と親族が同居していたものと解し、全体について特定居住用宅地等に該当するものとして、この特例の適用が可能とされてきました。  他方、構造上区分された二世帯住宅の場合は、 それぞれの区分ごとに独立した住居と捉え、被 相続人が居住していた部分は他の要件を満たせ ば特定居住用宅地等に該当するものの、それ以 外の部分は特定居住用宅地等には該当しないも のとしてこの特例の適用を認めない取扱いとな っており、納税者からは分かりにくい状況とな っていました。  このように外見上は同じ二世帯住宅であるの に内部の構造上の違いにより課税関係が異なる ことは不合理との指摘を踏まえ、上記(1)(2)の見 直しを機に、この二世帯住宅に関する取扱いを 見直すこととし、二世帯住宅であれば内部で行 き来ができるか否かにかかわらず、全体として 二世帯が同居しているものとしてこの特例の適 用が可能とされ、これを法令上も明確化するこ ととされました。  具体的には、特定居住用宅地等の要件のうち 同居要件(上記 1 (1)(注 2 )ロイ)について、「被相続人の親族が、相続開始の直前において その宅地等の上に存するその被相続人の居住の 用に供されていた一棟の建物(被相続人、その 被相続人の配偶者又はその親族の居住の用に供 されていた一定の部分に限ります。)に居住していた者であって、相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、その建物に居住していること」とされました(措法69 の 4 3二イ)。  また、上記の「一棟の建物」には、いわゆる分譲マンションのように区分所有され、複数の 所有権の目的となっているものもありえます。 しかし、例えば同じ分譲マンションの101に被相続人、707に親族が居住していた場合には、 それぞれの専有部分が別々に取引される権利であり、いわゆる「二世帯住宅」とは同視できないと考えられるため、上記の「一定の部分」については、専有部分ごとに判断することとされています。具体的には、次の部分に対応する宅地等がこの特例の対象となります(措令40の 2④⑩)。
①被相続人の居住の用に供されていた一棟の 建物が建物の区分所有等に関する法律第 1 条 の規定に該当する建物である場合には、当該 被相続人の居住の用に供されていた部分
②1以外の場合には、被相続人又は当該被相 続人の親族の居住の用に供されていた部分
(注 1 ) 上記1の「建物の区分所有等に関する 法律第 1 条の規定に該当する建物」とは、 建物の独立した部分ごとに所有権の目的 とすることができる建物を指します。た だし、構造上区分所有しうる建物が当然 に区分所有建物に該当するわけではなく、 区分所有の意思を表示する必要があると 解されていることから、通常は区分所有 建物である旨の登記がされている建物と なります。また、単なる共有の登記がさ れている建物はこれに含まれません。
(注 2 ) 租税特別措置法第69条の 4 第 3 項第 2 号では配偶者については親族と区別して 規定されていますが、上記2を規定している租税特別措置法施行令第40条の 2 第 10項では親族には配偶者が含まれます。

(参考) 建物の区分所有等に関する法律(昭和 37年法律第69号)(抄)
(建物の区分所有)
第 1 条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所 又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その 各部分は、この法律の定めるところにより、 それぞれ所有権の目的とすることができ る。

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